人生を変えた温泉。温泉に魅せられた人生とは?【File.3北出恭子】

ミツカルのコラム企画「プロフェッショナル」は業界などその道を熱く生きる人物にスポットを当て、学生がインタビューを行い、発信する記事です。

今後の若者の人生に役立てられる情報の提供をしたいと企画を致しました。

プロフェッショナル File.3
■温泉家・北出恭子(おんせんか・きたできょうこ)氏
出身地:山口県
住居地:東京都
血液型:A型
身長:158㎝
趣味:温泉巡り、神社巡り、登山

国内外の温泉を年間300湯以上めぐる温泉専門家。
多数の温泉資格や知見を活かし、メディア出演や講演を中心に温泉の魅力を世界に発信し続けている。
また、温泉地自治体や企業と連携し、温泉を軸とした地域資源の創出や温泉地づくりをサポート。
大学非常勤講師や観光行政の委員も務めている。
スプリングラボ合同会社CEO。著書「九州絶品温泉、ドコ行こ?(ペガサス出版)」。


■「北出温泉」WEB:https://kitade-onsen.com

■インタビュー担当:富永雄伍
学生団体スマイリース 代表
長崎総合科学大学3年生

*インタビュー:9月26日ZOOMにて実施。


富永今回、ミツカルのプロフェッショナルは温泉家の北出恭子さんです。
まず、温泉家という仕事があることを知って驚きました。
私も温泉が好きなので本日のインタビューでお話をお聞きできるのは楽しみです。
それでは早速、インタビューを開始したいと思います。

富永:北出さん、初めまして。今日は宜しくお願い致します。

北出:初めまして。温泉家・北出恭子と申します。
今日は宜しくお願い致します。実は私も今、大学3年生なんですよ!

写真:温泉家・北出恭子さん

富永:えっ?大学に通っているんですか?大学では何を学ばれているんですか?

北出:京都橘大学の健康科学部心理学科で心理学を学んでいます。
学生という一面もあるんですが杏林大学地域総合研究所の客員研究員、
また講師として学生に温泉について授業をしています。
大学で学んでいる理由は、温泉社会心理学研究者を目指しているからです。

富永:序盤から北出さんのアグレシッブな話に驚かされています。
北出さんの過去から現在までの人生観も含めて今日は色々な視点で
インタビューをさせて頂きます。

北出:私もインタビューを通して皆さんに温泉の魅力が
少しでもお伝えできればいいなと思っています。宜しくお願いします。

温泉と共に死にたい!車中泊しながら貯金と時間を温泉に使い果たすほどハマった温泉の魅力。
富永

北出さんはそもそも何故、温泉家になろうと思ったんですか?温泉が好きだったからですか?

北出さん

最初から温泉がすごく好きだった訳でもなく、たまに温泉に友人と行く程度でしたね。

当時は温泉に対して、温かいお湯ぐらいにしか思ってなかったんです。

そんな時にたまたま2014年に福岡で温泉ソムリエという資格が取れるというのを知って、

何となく気になって資格を取ってみようかなと思ったんです。それがきっかけになりました。

私は当時、テレビやラジオなどでリポーターやパーソナリティーのお仕事もしていたので、

温泉ソムリエの資格を取得することで、自分自身の幅が広がるんじゃないかというのもありましたね。

資格を取って知識を得たことで温泉の奥深さを知って、どんどん温泉の世界にハマっていきました。

そこから実際に各地の温泉地を巡り始めました。

例えば、夜に仕事が終わったとしてもすぐに車に乗って何時間も運転して

24時間営業の温泉施設に行ったり、そのまま車中泊したり時間も貯金もとにかく温泉の為に使い果たしましたね(笑)。

写真:イメージ
富永

車中泊しながら巡っていたのはすごいです。そこまでして温泉にハマる奥深さとは何ですか

北出さん

それは温泉の個性を知ったからです。

ワインや焼酎、日本酒にも色々な種類があり、色や味、香りなどそれぞれに個性がありますよね。

また、私たち人間の姿形や性格が違うように、温泉も一つとして同じ泉質は存在せず、

しっかりと個性があるんです。ちなみに、私が温泉巡りを始めて最初に驚き感動した印象的な温泉が、

熊本県小国町にあるわいた温泉郷です。

なんとお湯の色が南国の海や空の色と同じような鮮やかなコバルトブルーの温泉だったんです。

その他にも、赤色の温泉真っ黒な温泉蛍光黄色の温泉緑色の温泉など、

カラフルな個性ある温泉が日本には沢山あるんです。

それに、とんでもなく苦い温泉や海水のように塩辛い温泉、レモンのように酸っぱい温泉など、

味も個性に違いがあるんです。

それから成分の違いや効果効能など、さらに詳しく温泉を専門的に学ぶことで、

「知識」「体験」が重なり、ますます温泉の魅力や面白さにハマったんです。

富永

私も今、北出さんのお話を聞いて、温泉に更に興味を持ちました。

温泉の個性を感じながら温泉に入るとまた面白さが味わえますね。

ところで北出さんは温泉に年間で何湯ほど入っているんですか?

北出さん

プロフィールなどには年間300湯と記載しているんですが、実はもっと温泉に入ってます(笑)

一日に一湯ではなく、一日に10湯以上に入る時もあります!

本当に心から温泉が大好きなので、どれだけ入っても全く嫌いにならないですし、

逆にもっともっと世界中の色々な温泉に入りたいって思うんです。

趣味が高じて今は仕事にさせて頂いていますが、そもそも仕事という感覚があまりないですね。

好きなことを仕事にできていることに本当に感謝しかないですね。毎日が幸せです♡♡♡

富永

とても羨ましいです。ただ、余計なお世話かもしれないですが年間に色々な温泉に入っていたら、ご自宅に帰る暇はあるんですか?

北出さん

温泉の仕事は、寒くなって温泉が恋しくなる秋冬が忙しくなってきます。

多忙な時期は、自宅に帰れるのは月2回ほどということもありますね。

キャリーバッグを片手に、全国の温泉地を転々と巡り歩いています。


自分を抑え続けた転校生の良い子ちゃんだった子供時代。
富永

北出さんは幼少期はどんなお子さんだったんですか?今の北出さんからイメージできるのは明るく活発的な女の子だったんじゃないですか?

北出さん

富永さんが持たれているイメージとは違いますね。

学校では平均的(普通)な良い子ちゃんでした。私の家族は、海上保安庁に勤めていた父と専業主婦の母と年の離れた妹がいるんです。

父の仕事の都合上、2年〜3年ごとに転勤があるんです。なので毎回転校する度に「初めまして北出恭子です」という挨拶から始まるのですが、緊張するタイプなので人前で話したり表現することはとても苦手でした。

それに転校生っていうだけで目立つので、自分を抑えてとにかく目立たないようにしていましたね。

富永

平均的な普通の子供時代だったということに驚きました。今の北出さんからは想像できないですね。

北出さん

転校生という存在は、勉強や運動が「出来過ぎ」ても「出来な過ぎ」ても、虐めの対象になると子供ながらに無意識的に思っていたので、平均的なポジションでいようと常に思っていましたね。。

富永

自分の得意分野なことでも周りを気にしながら出さないようにしていたんですか?

北出さん

そうですね。私は小学生の頃は縄跳びが得意で、縄に引っ掛からずに跳ぼうと思えば跳べたのですが、クラスの半分ぐらいが引っ掛かって座り込むのを見ながらわざと自分も引っ掛けて座っていました。出来るだけクラスでも目立たないように自分を抑えていましたね。今、考えるとその頃の体験のおかげで、場の空気を読めるようになれて今ではプライベートでもビジネスでも役立っています。


音楽との出会いで抑えてきた自分を開放してくれた
富永

学校では自分を抑えていたと思うんですが自宅ではどんな子だったですか?

北出さん

妹と年が離れているので妹が生まれるまでは一人っ子と変わらなかったので、両親の愛情を一身に受けて可愛がられて育ったので、わがままな子だったと思います。

髪が長くてフリフリのスカートを履いて典型的なイメージの女の子ですね。

中学時代はソフトテニス部でキャプテンを務め、高校受験のために家庭教師や塾で勉強をして、高校は進学校に入りました。

富永

学生時代は、北出さんはダンスや音楽をしていたんですよね

北出さん

はい。ダンスは小学生の頃からしてました。音楽も大好きでしたね。ダンスをしている時は、全身を使って抑えていた自分を開放できるので、ダンスを通じて表現の楽しさを知ったんだと思います。

私が、音楽の道を目指すきっかけは、高校1年生の時に不登校になったんです。ダンスや音楽が楽しくて勉強よりも何よりも優先事項になってしまって、偏差値の高い進学校だったので、とにかく勉強が大変で(笑)学校は休みがちでほとんど通っていなかったですね。

富永

不登校になってご両親は驚いたじゃないんですか?

北出さん

そうですね。両親には申し訳なかったなと思っています。

そんなある日、新聞のテレビ欄の横に音楽を学びながら高校卒業資格を取れると言う記事を見つけて、これだ!とピントきて、親にお願いをして福岡のサポート校に転入しました。16歳だったので高校2年生の時です。両親との約束通り、無事に高校の卒業資格も取ることが出来ました。

今考えると、人生の大きな分岐点だったと思います。


マスメディアで表現者としての道が始まった
富永

北出さんはテレビリポーターのお仕事をしていたんですよね?

北出さん

そうですね。福岡で18歳の時に声を掛けられて、テレビのリポーターの仕事をフリーで始めました。

その時期に丁度、音楽の道でこのまま本当に食べていけるのかな?と本能的に限界を感じていたんです。

そんな時にたまたまTVの話をいただいたので、歌を歌うことリポーターは自分自身の声を使って人前で表現するというにとても共通点があるなぁと思ったんです。

ただ、当時はいきなり食べて行けなかったので色々なアルバイトもしましたね。例えば、飲食店でのアルバイトや家電量販店でのMC、ホテルでのレセプションアテンダントなど、二足の草鞋で生活していました。

それに私は、一般職には就けないと思ったんです。(笑)

特別な資格や技術を持っているわけでもないし、同じ場所で組織の中で働くということが性格的に向いてないと分かっていたので、私ができることは今の仕事しかないと思いました。

写真:イメージ
富永

18歳でフリーとしてテレビの仕事を始めるのもすごいですね。そこから序盤でお話した内容に繋がって温泉家になられたんですね。

北出さん

そうです。テレビやラジオのお仕事やMC業をずっとしていたので、まさか自分が数年後に温泉家になるとは思ってもみませんでした。現在は、温泉家としてメディアや講演をさせていただいていますが、リポーターやMC時代の経験と技術がとても活かされています。

人生はすべて繋がっていて、無駄なことはないなぁと改めて実感しています。

そして何よりも、今の私が存在しているのは、本当に周りの方々の応援や様々なきっかけを与えて頂いたお陰なんです。私は普段から大切にしていることは「感謝」「謙虚さ」「素直さ」を忘れないようにしています。当たり前のことかもしれないですけど意外に大人でも出来ていない人が多い気がします。そして、「継続は力なり」という言葉の難しいさと大切さを感じています。

富永

感謝」「謙虚さ」「素直さ」「継続」は私も普段、意識はしていますが忘れることがあるので改めて意識しようと思いました。


北出さんの今後のビジョンとは?
北出さん

これまでタレント業や温泉家として、“表現して伝える”仕事をしていますが、今後は学術的社会貢献をしたいと思っています。現在、杏林大学で研究員をしていますので、様々な分野の大学の先生方とご一緒に温泉にまつわる研究を行い、論文を書いて発表していく予定です。また温泉地に関するツーリズム研究を進めつつ、今後は温泉と心理学を掛け合わせた日本唯一のパイオニア的な存在になり、日本の温泉業界、観光業界を盛り上げていけるよう社会的貢献をしていきたいと思います。


北出さんから学生にメッセージ
北出さん

北出:学生の皆さんに私からお伝えできることは「好きなこと」「興味あること」「関心があること」をどんな小さなことでもなんでもいいので1つ見つけて欲しいなぁと思います。私も大人になって温泉と出会い好きなことが仕事になったように、今すぐに見つからなくても焦らずに人生をかけて夢中になれることがきっとあるはずです。好きなことや興味があることが見つかることで人生がより楽しくなったり、目的ができることで自分自身の中に芯ができるので優しく強くなれるのではないでしょうか。今後の人生の中で将来への不安や様々な葛藤がでてくるかもしれませんが、常日頃から他人への思いやりや気遣いを忘れず、自分自身にだけは負けないで、日々後悔がない人生を歩んでいって欲しいと思います。

インタビューの感想

富永

今回、オンラインを通して北出さんのインタビューを行いましたが北出さんと話しているとオンラインではなく対面で話しているのかと思えるぐらい、温泉への熱意や情熱が直接、伝わって来ました。北出さんは温泉と出会い、温泉を好きになり今では温泉家として好きなことをお仕事をしています。その姿に私はとても憧れます。

私も北出さんのように好きなことや興味のあることを見つけて人生の仕事にできるようにこれからの人生を歩みたいと思います。その為にも北出さんのように好きなことを見つけたら追求して自分にしか出来ないことを探したいと思います。